衣替えの季節に取り出した白いシャツ。えっ?わきの下のこの黄色いのって、汗のシミ?
時間が経った汗ジミを見つけたときはショックですよね。もう捨てるしかないのかな、と思いがちですが、ちょっと待って。ここでは時間が経った汗ジミを落とせる方法や汗ジミをつけない方法についてお伝えします。
どうして汗ジミってできるの?
人間の体には汗を出すために「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗の腺があります。「エクリン線」は全身にあり、「アポクリン汗腺」はわきの下、耳の中、陰部、乳首、肛門にあります。「エクリン線」からでる汗はほぼ無味無臭で99%以上は水分でできています。しかし「アポクリン汗腺」から出る汗は、色素や皮脂、タンパク質、アンモニアなどで出来ており粘り気があります。この色素などを含んだ汗が時間が経つと酸化し、汗ジミとなります。汗ジミは色素と皮脂などを含んだ水溶性と油性の混合シミです。
汗ジミを落とす前に確認すること
汗ジミ落としの前に、素材の確認をしましょう。綿100%の素材やポリエステル混の素材はおおむね大丈夫ですが、シルクや麻などは繊細なのでシミ落としはおすすめいたしません。
洗濯タグを確認して、水洗いができるかどうか確認します。水洗いができないものは水を張った桶にバツ印がついているもので表示されています。このような衣類はクリーニングに出しましょう。
また、桶に数字が書かれているものは、液温の最高値です。30と書いてあれば、30度以下の水のみが使えます。熱を加える処理をするときはご注意ください。
また、漂白剤の使用ができるかも確認します。三角形(△)の表示が漂白剤の使用不可かどうかを表しています。三角形の上に記載がない場合は、漂白剤が使用できます。三角形の上にバツ印があるものは漂白剤は使えません。三角形に斜線が二本あるものは、酸素系漂白剤のみ使用できることを示しています。塩素系・還元系の漂白剤は使用しないでください。ファスナーや金属の部分に漂白剤をつけてしまうと腐食することがあります。ご注意ください。
時間が経った汗ジミの落とし方
時間が経ってしまった汗ジミは頑固で、通常の洗濯では落としにくいものです。
いくつか落とし方をご紹介します。番号が大きくなるほど洗浄力が強くなります。素材をよく確認してからお試しください。
また、手荒れを防ぐため、ゴム手袋を使うことをお勧めします。
1.中性洗剤またはクレンジングオイルをつかう
水洗い出来て、汚れが軽いものであれば、汗ジミをこの方法で落とすことができます。
①バケツやたらいなどに40℃程度のぬるま湯をいれます。
②汗ジミ部分を濡らしたら、中性台所用洗剤またはクレンジングオイルをつけます。乾いたところに洗剤を塗るよりも濡らしておいたほうが洗剤等が浸透します。
③やさしく揉みながら洗います。
④容器に張ったぬるま湯ですすぎます。
⑤洗濯機で普段どおり洗濯します。
洗濯洗剤+酸素系漂白剤でつけ置き洗い
時間が経って中性洗剤だけでは落ちない汗ジミには、酸素系漂白剤と洗濯用洗剤を使って、つけ置きします。
①たらいやバケツに40度程度のぬるま湯を入れ、酸素系漂白剤(10~20ml)を溶かします。
②汗ジミ部分を少し濡らして、洗濯用洗剤を塗ります。
③漂白液に10~20分程度つけ置きをします。漂白剤の効果が一番高まるのは1時間程度です。長時間放置しないようにしてください。
④漂白液ごと洗濯機に入れ、普段通り洗濯して干します。
重曹とクエン酸でシミ抜き
重曹とクエン酸の化学反応でシミ抜きをする方法もあります。
重曹は少量の水を加えてペースト状にします。クエン酸は水に溶かし、クエン酸液にして使います。
①汗ジミの部分をスチームアイロンやドライヤーなどで5分程度温めます。
②タオルなどをシミの下に敷き、重曹ペーストを汗ジミ部分に付けたら、クエン酸水をスプレーします。クエン酸水は、クエン酸小さじ1/2杯を水100mlに溶かしてつくります。スプレーボトルに入れると使い勝手がよいです。
③泡が発生するので、先を短く切った古歯ブラシなどでこすります。デリケートな素材の場合や、できるだけ傷めたくない時は、叩くようにするとよいでしょう。
④普段どおり洗濯して干します。
奇跡のオリジナル洗剤を使う
SNSで話題の「奇跡の洗剤」についてもご紹介します。東京のユニクリーニング店主・宇井直樹さんの開発だそうです。
①液体の台所用洗剤、粉末の酸素系漂白剤、液体の酸素系漂白剤を同量混ぜます。混ぜると化学反応が起き、その反応によって汚れを落としますので、作り置きはできません。必要な量だけその都度作りましょう。
②汚れの下にタオルをおいて、前述の洗剤を洗剤をつけた歯ブラシを汚れの表面に当てて、縦横の両方向から擦ります。
③服の数cm上からアイロンのスチームを当てます。汚れが落ちるまで②と③を繰り返します。
④汚れが落ちたことを確認して水洗いし、通常の洗濯を行い、干します。
汗ジミを防ぐには?
汗ジミを防ぐには、着用後は出来るだけ早く洗濯することが重要です。その時に冷たい水を使うと皮脂は溶けづらく、完全には汚れが落ちません。できれば油脂の溶けだす40度程度のぬるま湯を使うと汚れが落ちやすくなります。入浴時に脱いだ衣類をバケツなどにつけておき、入浴後に洗濯すると手間がかかりません。
また、そもそも衣類に汗をつけなければ汗ジミはできません。制汗スプレーや汗用パット、汗ジミ防止スプレー、ベビーパウダーなどを使うと衣類への浸み込みを防ぐことができます。
着ても毎回は洗わない服は重曹スプレーを吹きかけておきましょう。重曹小さじ2を水200mlに溶かしたものをスプレー容器に入れ、吹きかけておくと、汗を中和してくれます。
衣替えなど長く着ない衣類を収納するときは、必ず洗濯してからしまいましょう。
まとめ
- 汗ジミは水溶性と油性の混合のシミ。
- シミ落としの前に素材を確認しよう。
- 汗ジミには重曹やクエン酸、酸素系漂白剤、中性洗剤、クレンジングなどが有効。
- 汗ジミをつけない工夫もできる。
いかがでしょうか、洗濯しても落ちない時間が経った汗シミを落とす方法について4つお伝えしました。また、汗ジミは着る前や着用後のちょっとした工夫で汗を浸み込ませないこともできます。お気に入りの服は、美しい状態で長く着られるようにしておきたいものですね。読んでいただき、ありがとうございました。