頭を悩ませる日々の洗濯物。なかでも手ごわいのは、汗臭いスポーツウェアです。野外で使ったものは泥で汚れていて、洗濯機に放り込んで洗うだけでは汚れが落ちません。むしろ他の洗濯物を汚してしまうのではないか、と心配になります。また、洗うだけでは取れない汗臭さも気になります。
部活動のジャージ、クラブチームのユニフォーム、ジムウェアなどのスポーツウェアをどのように洗えば、より楽にニオイを取り、きれいにすることができるのでしょう。
どうすれば、汗臭い人間からさわやかな人になれるのか、解説していきます。
スポーツウェアはなぜ臭うのか?
見た目には真っ白でも、着古したスポーツウェアから漂う異臭。室内で汗をかくと周りの人に迷惑をかけているのではないか、と気になります。
花王株式会社ハウスホールド研究所・安全性科学研究所・香料開発研究所の発表によれば、汗をかいた後に衣類から発生する汗様のニオイ(着用汗臭)に関して、そのニオイ成分の原因物質と原因菌を解析した結果、ニオイの原因物質は、短鎖および中鎖の複数の脂肪酸だとわかったそうです。
そして、原因となる菌はマイクロコッカス属細菌だということです。マイクロコッカス属細菌は、自然界にたくさん存在し、人の皮膚にもいます。菌は、着用前の衣類からも高い頻度で見つかり、かつ、数多くいるそうです。
つまり、スポーツウェアの汗臭さは、私たちの体からウェアについたマイクロコッカス属細菌が、時間の経過とともに皮脂を餌に増殖するために起こるということです。
細菌は生き物ですので、水を無くす・栄養を無くす・熱で殺菌するのどれかを使って殺すことができます。
汚れたらすぐに洗う
前述のハウスホールド研究所・安全性科学研究所・香料開発研究所は、汗臭い匂いを強くしないためには、「着用中に原因菌を増殖させないことに加えて、日々の洗濯において、原因菌を衣類から除去することが重要」だとしています。
どんな汚れもそうですが、すぐに洗うと、強い洗剤を使ったり、こすったりしなくても汚れはよく落ちます。しかし、時間が経過すると汚れは変質し、繊維の奥に入り込むのできれいにするのは難しくなります。出来れば、汚れてから24時間以内に洗濯することがベストです。
どんな洗剤を使う
洗濯用の洗剤として、酸素系漂白剤、酵素の入ったもの、柔軟剤や蛍光増白剤が入ったものなどいろいろなものが発売されています。汗臭いニオイに関して言えば、原因となるものの一つ、皮脂のたんぱく汚れを落とす必要があります。中性洗剤よりも、アルカリ性の物のほうが油を分解する力がありますので、重曹やセスキ炭酸ソーダなどの力を借りるのもよいと思います。
また、前述の花王株式会社で汗臭対策に特化した洗剤として開発された「アタック 高浸透リセットパワー」を使ってみるのも良いかもしれません。(残念ながら私は使ったことがありません。)
悪臭に柔軟剤の強い香りが加わると、地獄のようなにおいになりますので、香りは控えることをおすすめします。
水の量と温度
皮脂汚れの正体は油ですので、水温が低いよりも、水温が高いほうがよく落ちます。お風呂の残り湯を使うほうが汚れ落ちはいいですが、お湯に雑菌が含まれていますので、すすぎには水道水を使用したほうがよいです。
洗濯機にも落とし穴
近年「節水」と称して、水の使用量を極限まで減らしている洗濯機が見受けられます。洗濯に使用する水の量が少ないと、服に水が充分に浸透しません。
そして、洗剤も溶け残りますので、水も洗剤も適正な量を使用しましょう。当然のことながら、水の量が少ないと汚れは落ちづらくなります。ウェアが充分に浸るように、水を増やして洗いましょう。
そして、長年使用している洗濯機によくあることですが、洗濯槽にカビが生えていることがあります。専用の洗浄剤を使って、洗濯機も定期的にきれいにしましょう。
乾かすときにも注意
一般的に菌は10度から45度の間で増殖します。特に 30度以上37度以下の温度 は最も菌の増殖が活発になります。
この繁殖の時間をできるだけ短くするために、洗濯物は干してから6時間以内で完全に乾燥させるようにしましょう。出来るだけ短時間で乾燥させるためには、部屋干しの場合、扇風機を使って風を当てると良いでしょう。除湿器を使うと強力です。
屋外で日光に当てると、紫外線による殺菌効果も多少期待できます。また、衣類乾燥機も高温の風を使って乾かしますので、菌の減少に効果的です。家庭用衣類乾燥機よりもコインランドリーのほうが高温で乾燥させることができます。衣類によっては、高温に耐えられない素材で作られていることもありますので、よく洗濯表示をご確認ください。
オススメの洗濯方法
①ぬるま湯に弱アルカリ性の洗剤と酸素系漂白剤を溶かします。ウェアを脱いだら、直ぐに洗剤の溶液に浸けます。(だいたい30分くらいです。)塩素系の漂白剤は色が抜けますので白物以外には使えません。お湯の温度が高く、浸けおき時間が長いほど効果はありますが、衣類の耐熱温度をよく洗濯表示で確認してください。
②時間が経ったら、他の洗濯物と一緒に洗濯機に投入。浸け置いた洗剤溶液はそのまま入れて、普段通りに洗濯する。
③洗濯が終わったら直ぐに干します。前述の乾燥に関する項目もご参考になさってください。
どうしても汗臭いニオイが落ちない
このようなときには、煮洗いをおすすめします。要は細菌を殺すことができれば良いのです。沸騰させた湯に洗濯物を投入して、弱火で五分煮ます。そして冷めるまで放置します。冷めたら、他の洗濯物と一緒に洗います。こうすると、劇的に汚れも匂いも減ります。ウェアの中には、高温で洗えないものもありますので、洗濯表示をよく確認してから行ってください。
煮洗いをすると、生地はかなり傷みますので、「もう捨てるしかない!」という状態のものでお試しください。あくまでも自己責任でお願いします。
まとめ
- 汗のニオイは、細菌によるもの。洗濯を重ねるうちに細菌が増えることが繰り返されて細菌が増える。
- 細菌は「水・栄養・熱」によって減少させることができる。
- スポーツウェアは菌を増殖させないために、できるだけ毎日洗う。
- 弱アルカリ性洗剤と酸素系漂白剤を投入したぬるま湯で、一時間程度の浸け置きの後に、通常の洗濯をする。
- 乾燥は短時間で。表示を確認してから高温で乾かすことができる衣類乾燥機をつかうのも良い。
いかがでしょうか?スポーツウェアに汗はつきものですが、洗濯しても取れない汗臭いニオイは耐え難いものです。上手に洗濯して、さわやかにスポーツを楽しめるといいですね。お読みいただき、ありがとうございました。